<英国>エリザベス女王即位60年…「開かれた王室」に寄与

 【ロンドン笠原敏彦】英国のエリザベス女王(85)は6日、即位60年を迎えた。在位期間の長さはビクトリア女王(1837〜1901年)の63年7カ月に次いで英国王として歴代2位。英国は今年を「ダイヤモンド・ジュビリー(即位60周年祝祭)」の年とし、6月のメーン行事を中心に盛大に祝福する。

 エリザベス女王は1952年2月6日、ケニアに滞在中に父ジョージ6世王死去の報を受け25歳で即位。翌53年6月の戴冠式は初めてテレビで中継され、世界で3億人が見たとされる。女王の治世は第二次大戦後の英国社会の歩みと重なり、その下で首相を務めたのはチャーチルから現在のキャメロン氏まで実に12人に上る。

 この間、97年のダイアナ元妃の交通事故死への「冷淡な対応」で国民の強い批判を受け、王室の危機に直面した。しかし、その後、国民と積極的に交流する「開かれた王室」に努め、支持を回復。現在も85歳の年齢からみて「信じられないほどの忙しさ」(BBC記者)で公務をこなし、昨年5月には英国王として旧植民地アイルランドを独立後初めて訪問し、両国和解の総仕上げを果たすなど強い存在感を示している。

 昨年のクリスマス前には、夫のフィリップ殿下(90)が緊急入院して冠動脈手術を受けたが、すでに回復。孫のヘンリー王子はBBCのインタビューに「女王は彼(フィリップ殿下)がいなければ公務を果たすことができないだろう」と話し、結婚66年目になる殿下の存在が公務遂行の支えになっているとの見方を示している。

 英政府は6月2〜5日を4連休とし、船舶約1000隻によるテムズ川でのパレードなど祝賀行事を予定。また、女王が国家元首を務める英連邦15カ国を、英王室メンバーが訪問して英連邦の結束の強化を図る。