<米国務省>イラン制裁で、日本を対象除外に

【ワシントン平地修】米国務省は20日、核開発を続けるイランの中央銀行と取引のある外国金融機関を対象とした米国の制裁法から、日本をはじめ11カ国の金融機関を除外すると発表した。イランからの原油購入を「著しく減少」させる各国の措置を評価した。除外期間は180日間で、制裁の発動で邦銀が米国市場から締め出される恐れは当面なくなった。

 除外対象となったのは日本のほか、イラン産原油輸入禁止を決めている欧州連合(EU)に加盟する27カ国のうち、イランと原油取引のある英国やドイツ、フランスなど10カ国。

 米政府高官は20日、日本が11年後半の6カ月で、イランからの輸入を15〜22%削減した実績などを考慮し、制裁の除外を決めたことを明らかにした。クリントン国務長官は同日の声明で、東日本大震災に伴う原発の停止など、厳しいエネルギー環境の中で日本が輸入を大幅に減少させたことについて、「特筆に値すること」と高く評価した。6カ月の除外期間は、今後のイランとの取引状況などをみて更新される見通し。

 核開発を続けるイランへの制裁を目的とする米国の国防権限法(イラン原油制裁法)は、原油代金の決済などを行うイラン中央銀行と取引した外国金融機関に対し、米銀との取引を大幅に制限する。一方で同法は、イランからの原油輸入を大幅に削減した国の金融機関は対象から除外する規定を設けている。日本政府は、過去5年でイラン産原油の輸入を約40%減らしていることなどを強調し、邦銀を制裁対象から外すよう米側と協議を続けてきた。

 イランの核兵器開発を懸念する米国は、制裁を含む外交的手段で問題の解決を図る構えで、原油輸出による資金獲得を制約することでイランに対する圧力を強めている。米政府によると、イランから原油を購入している国は23カ国。購入量が最も多い中国や、インドなど12カ国は今回の除外対象から外れており、米国は今後、日本の削減量などを目安にして、各国に削減を迫る方針だ。