被害者補償、争点に=船長の過失濃厚に―伊客船事故1カ月

 【ジュネーブ時事】イタリア中部ジリオ島で大型客船「コスタ・コンコルディア」(乗員乗客約4200人)が座礁、横転した事故から13日で1カ月を迎えた。これまでに30人を超える死者・行方不明者が確認され、人気の地中海クルーズは大惨事となった。船を島に近づけすぎた船長の過失をめぐる取り調べが続く一方、被害者への補償が問題化している。
 捜査当局は、暗礁が多い島に船を異常接近させたことが座礁につながった「人災」の可能性を指摘。スケッティーノ船長(52)=自宅軟禁中=が乗客を見捨てて逃げたとして、過失致死罪などに問われている。
 船長は当初、自らの過失を否定。ただイタリア・メディアによると、その後は「間違いを犯した」と操船ミスを認める発言をしている。さらに事故時にゲストとして乗船していたモルドバ人女性とブリッジにおり、適切な操船や乗客の避難誘導を怠ったとの疑惑も浮上している。
 乗客らへの補償問題も争点になっている。約70人の乗客らは船の運営会社を相手取り集団提訴した。同社は救出された被害者1人1万1000ユーロ(約113万円)の補償金を提示。だが被害者側は10万ドル(約776万円)、死亡した場合は最低100万ドル(約7760万円)を要求しており、補償問題の解決は長期化しそうだ。