地上戦力10万人削減=太平洋は海兵隊の規模維持―F35調達遅らせる・米国防長官

【ワシントン時事】パネッタ米国防長官は26日、国防総省で記者会見し、国防費を10年間で4870億ドル(約38兆円)削減するために、地上戦力の陸軍8万人と海兵隊2万人の計10万人を削減すると発表した。一方で、軍事力を増す中国や北朝鮮の脅威に対処するために、アジア太平洋を重視することを改めて強調し、「太平洋の海兵隊と陸軍の体制を維持する」と明言した。
 パネッタ長官は「戦争が終局に向かいつつあり、軍の予算削減に取り組まなければならない。軍の規模は縮小することになる」と指摘。2013〜17会計年度の5年間の支出削減目標として2590億ドル(約20兆円)を設定した。
 最大の地上戦力の陸軍は同時テロ後のピーク時の57万人から49万人に、海兵隊は20万2000人から18万2000人に減らす。脅威が低下した欧州からは、2個陸軍戦闘旅団を撤退させる。
 海軍はイージス艦を維持するが、弾道ミサイル対処能力のない艦船を退役させる。空軍の大型無人偵察機グローバルホーク」も運用コスト高騰を理由に、現在の調達計画を中止する。
 開発遅延と価格高騰が問題視されている次世代ステルス戦闘機F35については、「大量取得する前に、より多くの試験と開発を完了させる」と述べ、試験開発を優先させて、調達ペースを遅らせることを明らかにした。米軍調達総数の約2440機は維持する。