<核のゴミ>米、多国間管理の枠組み提案へ

来日中のダニエル・ポネマン米エネルギー省副長官が15日、東京都内の米国大使館で日米の記者団と会見し、その後、近くの米国施設で両国の原子力関係者らを前に講演した。これらの中で、副長官は世界中で行き詰まっている高レベル核廃棄物処分場問題について、エネルギー省の有識者会議が来年1月に行う最終報告が「国際的な議論を喚起するだろう」と述べた。報告書は、核のゴミを多国間で管理する枠組み作りについて提案するものとみられる。

 東京電力福島第1原発事故後初めて来日したポネマン氏は、「(福島事故後)私は多くの国を訪ね、原子力推進の結論に達していることを知った」などと強調。原発の安全性向上や核のゴミ問題の解決に向けて「日米が共同で取り組むべきだ」と訴えた。

 ポネマン氏は米原子力界の重鎮として知られ、モンゴルでの世界初の国際的な核廃棄物処分場計画では米国交渉団の中心的役割を担ったとされる。しかし、この計画は今年9月、モンゴルのエルベグドルジ大統領が「拒否する」と明言したことで事実上ついえた。

 ポネマン氏は具体的な計画には言及しなかったが、「(核廃棄物問題などに対処するには)透明性を高くし、説明していきたい」と語った。

 エネルギー省の有識者会議は、米国内の最終処分場計画が住民の反対で中止に追い込まれたことから、09年1月にオバマ米大統領の指示で設立。今年7月の中間報告は、地下の最終処分場ができるまでの約100年間、一時保管する中間貯蔵施設の必要性などを盛り込んだ。【栗田慎一】