西側諸国が対イラン制裁強化を相次いで発表、IAEA報告受け

 [ワシントン 21日 ロイター] 米国、英国、カナダは21日、イランのエネルギー・金融部門に対する新たな制裁を発表した。アナリストは、これによりイランへの圧力が高まる可能性はあるが、核プログラムを断念させるには至らないとみている。

 米国は、イランを「マネーロンダリング資金洗浄)の主要懸念国」と認定した。これは、米国以外の銀行にイランとの取引の自粛を求める措置となる。このほか、核プログラム支援の疑いがある11社を指定、またイランの原油および石油化学産業を支援した企業に対する制裁を強化した。

 ただ、イラン中央銀行を制裁対象とすると、同国が国際金融システムから孤立するほか、原油価格の高騰を招き、欧米の景気回復を脅かす可能性があるとして対象から外した。

 これに歩調を合わせ、英国は、国内の全金融機関に対し、中銀を含むイランの金融機関との取引停止を指示した。

 カナダも、イランの石油化学原油、ガス部門で使用される物品の輸出を禁止するとともに、イラン系カナダ人によるイランへの送金以外、中銀含め「事実上すべての対イラン取引を阻止する」としている。 

 フランスは、具体的な行動は取らず、欧州連合(EU)その他の諸国に対し、イラン中銀の資産を速やかに凍結し、イラン産原油の購入を中止するよう求めた。フランスは、「この制裁は前例のない規模」としている。

 国際原子力機関IAEA)は8日、イランが核爆弾製造を模索しており、秘密裏の研究を継続していると示唆した報告を公表。一連の制裁発表は、この報告を受けたものだ。