独国債の入札不調、伊は危険水域…市場に動揺

 【ロンドン=中沢謙介】ドイツ政府が23日実施した10年物国債の入札で、募集額60億ユーロ(約6000億円)に対し、応札額が7割弱の約39億ユーロにとどまる「札割れ」が起きた。

 財政状況が良好なドイツ国債の需要も減っていることを示す例として、市場には動揺が広がった。

 落札利回りは年1・98%だった。募集額に満たない分は、ドイツ連邦銀行中央銀行)が購入し、市場に売却する。市場では、「一般的に国債の札割れは特に珍しいことではないが、ユーロ全体が売られているという象徴的な出来事だ」(大手銀行)との声が出ている。 23日の欧州債券市場で、イタリア国債(10年物)の流通利回りは一時、前日比0・2%高い年7・0%台に上昇(国債価格は下落)し、再び財政危機に陥る危険水域とされる高水準となった。スペイン国債も一時、0・1%高い年6・7%、フランス国債も0・2%高い年3・7%に上昇した。

 ベルギー国債は一時、0・5%高い年5・5%台に上昇し、11年ぶりの高水準となった。政治空白が長期化し、財政再建が進まないとの懸念が広まっている。